イラク・モスルの歴史ある「ヌーリー・モスク周辺施設」
再建するプロジェクトがスタート

▲©Salah El Din Samir Hareedy & team

ユネスコは、イラク・モスルの「ヌーリー・モスク周辺施設」を再建するための設計コンペをこのほど開催し、優勝者を発表した。123件の応募作品のなかから、8人のエジプト人建築家グループの設計案が受賞した。

このグループは建築遺産の修復や都市計画、気候に詳しい建築家たちで構成されており、ヌーリー・モスク施設の詳細な設計案は改めて発表される予定。2021年の晩秋にはプロジェクトがスタートする見通しだ。

このプロジェクトでは、ヌーリー・モスクの歴史ある礼拝堂が再建されるほか、そこにモスル旧市街で最大の公共スペースとなる複合施設が併設される。

礼拝堂は2017年にモスクが破壊される以前と同じような外観だが、自然光がこれまで以上に差し込み、女性や有力者のためのスペースも拡張。半屋根付きのオープン構造を抜けるとメインホールに通じており、礼拝の場としても機能するという。

▲©Salah El Din Samir Hareedy & team

また、設計案では、1944年の改修前に礼拝堂の周りにあった歴史的な家屋や庭園を想起させる中庭も作る予定だそうだ。

ユネスコ事務局長のオドレー・アズレーは、「モスルの都市構造と歴史の一部である由緒あるヌーリー・モスク周辺施設の再建は、戦争で荒廃した都市の和解と社会的結束を促すプロセスのランドマークとなるものです。文化遺産や歴史的建造物は、人々の帰属意識やコミュニティ、アイデンティティにとって強力な触媒となり、モスルとイラク全体の心を復活させる鍵となるでしょう」と語っている。End