NEWS | サイエンス
2021.04.01 15:15
私たちがコーヒーを淹れるときに使うのはコーヒー豆だが、この豆を包んでいる果肉の部分は、捨てられたり肥料になったりするようだ。
このコーヒーの果肉を使って新しい研究が行われたという。それは、農地として使われた後の熱帯林の回復速度を速めることができるというものである。
スイス連邦工科大学チューリッヒ校とハワイ大学の研究チームによると、実験ではコスタリカにある35×40mの荒れた農地にダンプカー30台分のコーヒーの果肉を撒き、同じ広さの何もしなかったエリアと比較したという。
筆頭筆者であるRebecca Cole博士によると、その効果は絶大だそうで、厚い果肉の層を施した農地ではわずか2年間で小さな林ができあがり、なにもしなかったエリアと比べて4倍も高く木が生い茂ったそうだ。
今回の実験では、果肉の層を50cmほどの厚さに設定。これにより、森林回復の妨げとなっていた農地を覆う雑草が生えず、風と動物の作用により在来種がすばやく広がったのである。さらに、果肉のエリアでは炭素や窒素、リンなどの栄養分が大幅に増加したことも回復の要因となっている。
非常に有意義な結果だが、Cole博士はさらなる研究が必要だと語る。今回の実験は1か所のみで2年間しか行われておらず、この方法が広い範囲で有効かどうか、あるいは果肉が土壌や植生にどんな影響を及ぼすのか確かめる必要があるからだ。また、同氏はオレンジの皮などの他の廃棄物の可能性も試したいとしている。