NEWS | インテリア / ビジネス
2021.03.25 16:15
佐藤オオキが率いるデザインオフィス nendoは、NTTドコモの販売店「ドコモショップ」の新デザインの実証実験プロジェクトを手がけた。
今回は、ビジネスモデルが「スマホ端末の販売や新規契約者を増やすこと」から「今持っているスマホをどう快適に使いこなし、利用頻度を高めてもらうか」にシフトしつつあるサービス形態の変化にあわせ、2タイプの店舗を開発。
「ドコモユーザー中心の店舗」と「他キャリアユーザーも含めた、みんなに開かれた店舗」という整理の仕方で、新たなビジネスモデルに対応することをねらったという。
まず、これまでの店舗をアップデートした「ドコモショップ」は、基本機能を向上させながら、新たにコミュニケーション・体験型のコンテンツを導入。落ち着いた「静的」な空間とするため、インテリアにはダークウッドとウォームグレー、従来のイメージカラーである「赤」系を配色するとともに、暖色の照明を採用している。
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基本機能を重視した標準型中規模店舗
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アイランド型カウンターによって限られたスペースの有効活用を検証する都心型狭小店舗
一方、他キャリアユーザーも含めた、より多くの人々に開かれた店舗である「d garden」は、コミュニケーション・体験型のコンテンツに特化した空間に、ショップ・イン・ショップのようにドコモショップの機能を内包させている。
利用者をドコモユーザーに限定せず、「スマホについての相談があればとりあえず行ってみる」と思ってもらえるように、店舗名から「docomo」を外して「d」のみにし、「公園」のように誰にでも開かれた場所をイメージして「garden」とした。
赤の補色であり、公園を想起させる「グリーン」をグラフィック要素に使用。明るくて「動的」な空間を目指してナチュラルな木質と柔らかな差し色4色を掛け合わせたほか、自然光に近い色味の照明計画を採用している。
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都心型大型店舗は、腰高の壁によって各コンテンツを囲い、適度な独立性と店舗内の視線の抜けを意識。5G体験コーナー、IoT家電のトライアル、ポップアップコーナー、スマホ教室、シェアバイクなどの実装と可変性の検証が行われた。
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大型ロードサイド店舗は、天板の高さを900mmに揃えた円形テーブルを8台配置。スマホ教室をはじめとする各種教育ワークショップやセミナーに重点を置いた。
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中型ロードサイド店舗は、洗車などモビリティーに関わる新サービスを提供。在宅訪問サービスに使う電動自動車用の「ガレージ」も兼ねたインテリアデザインとした。
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複数階分離型店舗は、2階建タイプの実証実験として、目的を持って来店するドコモショップエリアは2階に用意し、1階は開放的なd gardenエリアという具合に、完全分離した構成にした。
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商業施設内店舗は、キッズを中心とした家族3世代で過ごせる店舗。曲線状のテーブルやベンチを使い、子供たちの様子を、親が周囲から「見守り」ながらくつろげる構成にしている。
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大型ロードサイド店舗は、地元のコーヒーショップと提携し、本格的な飲食サービスを通じたコミュニケーション性に軸足を置いた。ドッグランやキッズコーナーなど、ファミリー層を意識したデザインである。
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駅ビル内店舗は、通行量の多い駅ビル内という立地条件のシミュレーション店舗。奥に配置し、デスクや集中ブース、会議室などの「コワーキング機能」を持たせたデザインとした。
店内のBGMは音楽プロデューサーの亀田誠治が作曲。天気(晴れ、雨、風、曇り、雪など)や時間帯をイメージして作られた心地よいオリジナルBGMで空間を演出している。
制服も来店者の緊張感が緩和されることを期待し、カジュアルでリラックス感のあるものにした。