旧摩耶観光ホテルや屋久島灯台など
新たに132件の建造物を登録有形文化財に登録へ

▲旧摩耶観光ホテル(兵庫県神戸市)/撮影:前畑洋平・温子

文化審議会は、2021年3月19日(金)に開催された文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、新たに132件の建造物を登録する答申を文部科学大臣に行った。この結果、登録有形文化財(建造物)は13,097件となる予定だ。

▲文化財の種別(パンフレット「建物を地域と文化に 登録有形文化財建造物制度の御案内」より引用)

▲登録の基準(パンフレット「建物を地域と文化に 登録有形文化財建造物制度の御案内」より引用)

そのなかのひとつである兵庫県神戸市の旧摩耶観光ホテルは、摩耶山南麓中腹に建つもとホテル。L字形平面を持つ地下2階、地上2階建ての鉄筋コンクリート造で、四層の外観各階に水平連続庇をまわして曲面を強調し、大きな開口を開けているのが特徴だ。

内部の大ホールや大食堂は、コンクリートの大梁を表して大空間を分節、舞台等の内装にアールデコ調意匠をみせており、かつての山上リゾート施設の有様を示している。

また、鹿児島県熊毛郡屋久島町の屋久島灯台は、台湾開発のために陸軍省が設置した台湾航路8灯台のうちの一基で、設計は臨時台湾燈標建設部が行った。

▲屋久島灯台(鹿児島県)

屋久島北西の永田岬に位置し、煉瓦造の灯塔上部にバルコニーを廻らし、下部に扇形平面の附属舎をもつ。入口にペディメントと柱形を表し、附属舎とも軒に歯飾(はかざり)を飾る。現存する明治期灯台で最南部に位置するもので、峻険な要衝の景観に寄与している。End