鏡がスピーカーとなって体験者の心拍に呼応
KAITO SAKUMAの音響彫刻「Ether ~Liquid Mirror~」

ふだん、私たちが鏡を見るとき、そこに映る自分自身に「生」を感じることはあまりないかもしれない。

アーティストのKaito Sakuma a.k.a BATICが手がけた音響彫刻「Ether ~Liquid Mirror~」は、鏡自体がスピーカーとなって体験者の心拍に呼応し、体験者と同期しながら音を鳴らすサウンドインスタレーションである。

この作品では、体験者の心拍が計測され、そのオーディオデータがミラーに送られて、鏡面が振動することにより、心臓音が響く仕掛けとなっている。

そして、その振動は無限に変化し、音と姿を変えていく。また、このミラーと鑑賞者のフィードバックは20 分ごとにリセットされ、沈静と覚醒をリピートすることになる。

第24回文化庁メディア芸術祭にて新人賞を受賞した、この作品の全体としてのモチーフは「子宮」だという。自身の心拍をスピーカーの振動や音として知覚することで、鏡に映る体験者はそこでまさに生きていることを実感できるだろう。End

▲KAITO SAKUMA