リユースとリサイクルの融合
モノファクトリーとブックオフによる「REMARKET」

3月5日に、ナカダイとともに私が代表と務めるモノファクトリーと、リユース業界のリーティングカンパニー、ブックオフコーポレーションが共同でブランド「REMARKET」を立ち上げ、そのコンセプトショップ第1号を、日本最大の売り場面積を誇るBOOKOFF SUPER BAZAAR(ブックオフスーパーバザー)17号前橋リリカ店にオープンしました。

REMARKETでは、廃棄物を使ったプロダクトや、今では珍しいレトロな商品、廃棄物という素材(私たちはソーシャルマテリアルと呼んでいます)の販売やワークショップなどを通じて、一度は捨てられたモノの魅力を体感できます。狙いはもちろん、循環ビジネスの創出です。循環ビジネスとは、モノと情報を同時に回収し、そのまま、または、付加価値を付けて、再び世の中に流通させることだと私は考えています。商品そのものかもしれませんし、素材としてかもしれません。どちらにしても、“モノの延命”こそ、これからの脱炭素社会における要な要素だと思います。

「私たちは、”捨てる”ことを悪だと思っていません。もちろん、さまざまな製品を生み出すことも悪だとは思っていません。しかし、捨てた後のことを考えずに使う生活、生み出す構造は変えたいと思っています」。

コンセプトショップの壁面に書かれたこの言葉は、私が廃棄物の現場で常に感じていることです。大量生産、大量消費、大量廃棄といった言葉で、やや批判的なニュアンスをもって表現されていますが、多くの企業の担当者の顔を思い浮かべれば、決して彼らが環境を無視し、利益だけを求めているわけではないと、私は知っています。

REMARKETのコンセプトは、“使い方”を創造し、“捨て方”をデザインするという、私たちのこれまでのビジネスコンセプトをそのまま使っています。もともとブックオフの店舗自体が、掘り出し物、自分だけの逸品を発見するというエンターテインメントを非常に大事にしています。特に、リサイクルショップで大量にモノが販売されていることは否定的な要素ではなく、不要になって捨てられてしまう可能性のあったモノの延命を実現しています。それらを楽しみながら買うことができる空間です。私は、この“楽しむ”ということも、これからのモノとの付き合い方に大事だと考えています。リユース業が活性化することは、廃棄物が減ることに直結すると考えています。

REMARKETでは、REMARKET COUNTERという法人窓口も設置します。個人向けの商品を多く扱い圧倒的な支持を得ているブックオフに、モノファクトリーの法人サービスを融合させます。移転や引っ越し、オフィスのレイアウト変更など、多くの法人の方々に楽しみながらモノの延命を実現するサービスを提供したいと考えています。今は、特にコロナ禍で、私たちの会社にもオフィスのレイアウト変更の依頼は多くきます。在宅によるオフィス縮小というよりは、たまに集まるオフィス空間こそ、少しはおしゃれに、クリエイティブな雰囲気に、せっかくであれば、環境配慮型の心地いい空間をというオーダーです。多くの個人は、ブックオフをはじめ、メルカリ、ヤフオクなどのサービスを多用していますが、法人はまだまだです。品質に不安があったり、まとまった量がそろうか不安、そもそもどこに行けばいいか分からないという単純な理由をよく聞くので、ぜひこれを機会に皆さんに知っていただきたいと考えています。

ナカダイでは、毎日60トンの廃棄物を受け入れ、その99%をリサイクルして、多くを素材として、商品として再流通させてきました。しかし、一度、廃棄物業界に入ってから再び戻すのではなく、そもそも廃棄物にしないという当たり前の視点を忘れてはいけません。今回のブックオフとの共同ブランドREMARKETは、僭越ながら、リサイクル業界の先陣を切って、リユース業界とがっちりと手を組むことで、廃棄物そのものの総量を減らしていこうという新たなチャレンジです。そして、皆さんの理解があって初めて成り立つ仕組みです。ひとりでも多くの、一社でも多くの積極的な参加を期待しています。End