NEWS | サイエンス
2021.03.11 14:40
日本IBMは、AIを活用した新たな材料の発見(マテリアルズ・インフォマティクス)を体験できるWebアプリケーション「IBM Molecule Generation Experience」を、2021年3月4日(木)に公開した。
持続可能な未来を実現させる方法のひとつとして、世界的な課題に対処できる新たな材料の発見が求められているという。その例として、CO2を速やかに吸着できる材料や、太陽光を損失なく電気に変換できる材料などが挙げられるだろう。
とはいえ、材料の性質が構成する分子の形で決まるとしても、分子の形にはほとんど無限のパターンがあり、材料開発に多大な時間がかかってしまうのが難点だ。そのため、AIを活用して、迅速かつ最適な材料を開発できるような技術の実現が期待されているという。
そして、マテリアルズ・インフォマティクスは、AIや最先端のデータ処理技術を活用して新規材料や代替材料を探す技術として、開発コストの低減や開発期間の短縮、さらには革新的な素材の発見につながるものとして注目されているそうだ。
そんななか、日本IBMが開発した「IBM Molecule Generation Experience」は、希望する性質を持つ材料の分子形状を自動でデザインできる無料のwebアプリケーションとなる。
一般ユーザー向きに作られており、ユーザーインターフェースや操作性も分かりやすく、高度なITスキルがなくても、AIの基本を学びながらマテリアルズ・インフォマティクスの最先端が体験できる。
このwebアプリケーションの背景にあるのは、「分子生成モデル」というAI技術。ツール内に事前に準備された材料データをもとに、データの観察と選択、AIの学習、分子デザインという3つのステップで、「水への溶けやすさ」や「熱しやすさ」といった希望する化学的性質をもつ材料の分子形状をAIが自動でデザインしてくれる。