木造建築の技法の「継手」の構造を楽しめる
金属製ジュエリー

広島県福山市に本社を置く精密金属部品メーカーのキャステムは、京都市の宮大工・匠弘堂と共同で、木造建築の技法で用いられる「継手」をデジタル技術で再現した金属製ジュエリーを開発した。

継手は、大きな建造物を構成する際の部材同士をつなぎ合わせる接合部分のことを指す。 伝統建築に使われる継手は1300年以上の歴史をもち、釘や金物を使わずに強度と美観を実現する日本独自の技法として発展を遂げ、現代にまで伝承されている。

▲写真:有限会社匠弘堂提供

両社は「DESIGN WEEK KYOTO」に参加したことから交流がスタート。ものづくりスペース キャステム京都LiQビルでは継手を3Dプリンタで出力しており、このプリント品が匠弘堂の目に留まったという。

今回開発された「継手ジュエリー」は、3Dで原型を起こし、継手の構造をそのままに、ユーザーが扱いやすいようにアレンジ。キャステムの微細で精度の高い部品を造る技術により、パーツ同士がすき間なく重なり合う継手を再現したジュエリーが完成した。

本来チェーン部分に付いている留め具を使わず、トップに継手を持ってきたのが特徴。ネックレスは、継手の構造をそのままに3パーツを分解・組むことで、身に付けたり外すことができる。

木造建築を意識しながら、組んだ時は素朴なデザインに、分解した時は複雑な構造を楽しむことができるほか、使うたびに継手の仕組みを体験し、理解を深めることができるデザインとなっている。End