NEWS | 建築
2021.02.03 17:00
建築家・長谷川欣則+堀越ふみ江が率いるUENOA architectsは、COVID-19の新しい生活様式に対応した、農地のなかでリモートワークやさまざまな活動ができる建築プロジェクト「GREEN BASE」を千葉県印西市で竣工した。
クライアントからは、同市内に所有する遊休農地を使い、人が交わり共創する場を作りたいという要望があったという。そこで同事務所は、2拠点生活や農業を始める若者が増えつつある時代に、農地の魅力を高めるような計画を作ることができたら面白いのではないかと考えたという。
この計画を進めるにあたり、「技術的に再現性が高く安価に作れる」ことが大切だと考えて、ビニールハウスに着目。機能美に優れているだけでなく、透明かつ軽やかで、農地の風景の一部になっているこの要素を活かしたいと考えた。
そして、ビニールハウスのモジュールに呼応するような幾何学をもつ構築物を内部に設けることで、ビニールハウスが内包するのびやかな空間性を活かしながら、人の居場所を同時に存在させるような仕組みを構築。
透明で薄い膜を外皮に持つことで、通常の建築とは違う生き生きとした空間が完成。赤松KD材75mm角で作られたフレームに構造用合板24mmの床を落とし込む簡素なディテールとすることで、組立てを簡素化しつつ、数年に一度起こる水害に備えて短時間で解体できるように工夫している。
また、このフレームを手がかりとすることで、使い手が間仕切りや屋根を簡単に取り付けられる仕組みとした。
実際の建設プロセスも、地元住民らが協力して実施した。コロナ禍という難しい状況だったため、進行には時間がかかったそうだが、約1年の協働により完成。
完成した本スペースは、農業の作業場として使うだけでなく、周辺の畑で収穫した野菜を料理してパーティーをしたり、青空の下で演奏会を行ったり、心地よい木々のざわめきの中でリモートワークをしたりなど、さまざまな使い方ができる魅力を持つ「GREEN BASE」となった。