NEWS | サイエンス
2021.01.26 16:40
三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)は、従来のディーゼルエンジンやガスエンジンを母体とした水素エンジンの開発と実用化に取り組んでおり、国立研究開発法人 産業技術総合研究所との共同研究で、水素エンジンの運転試験を実施している。
MHIETは、同社製の4ストロークレシプロガスエンジン「GS6R2~GS16R2」シリーズ(ピストン径170mm × ストローク220mm)を改良した単気筒エンジンを、産総研 福島再生可能エネルギー研究所に設置。試験の結果、CO2を排出せずクリーンな水素を100%として安定燃焼できる条件を突き止めたそうだ。
水素は、可燃範囲が広く燃焼速度が大きいという特徴があり、バックファイアやノッキングなどの異常燃焼が発生しやすいという課題をもつ。
そこで今回の試験では、現在MHIETが販売する希薄燃焼ガスエンジン「GSR」シリーズをベースとし、水素の燃焼特性に合わせて、水素燃料供給方法、着火方法、給気弁閉じ時期、空気過剰率などを見直すことで、水素専焼・予混合方式での安定燃焼条件を確立したという。
今回は、6気筒換算で340kW、16気筒換算で920kWまでの試験運転に成功。これをもとに、さらに試験データを積み重ねて多気筒エンジンの開発につなげたいとしており、2030年代の水素利用に向けて1MW(1,000kW)級水素エンジンを実用化することを目指している。
MHIETはさらに将来的に、2019年度に発表したトリプルハイブリッド自立給電システムの発電設備「EBLOX(イブロックス)」に使用しているガスエンジン発電機を水素エンジンに変更することで、太陽光発電+バッテリー+水素エンジンによるCO2排出のない自立給電システムを完成させた分散型エネルギーソリューションを提供するとしている。