NEWS | プロダクト
2021.01.26 17:25
寒さが厳しい地方においては、路上生活を強いられる者が冬を越すことは心身ともにかなり厳しいことだろう。そこでドイツ・ウルムでは、こうした人たちが身を守れるように支援するためのプロジェクト「Ulmer Nest」が行われた。
このプロジェクトは、100年もの歴史をもつ「Wilhelmsburg」という城塞と新たに改装されたその室内を活用するプログラムの一環として行われたという。「Ulmer Nest」は、ウルムに拠点を置くスタートアップ2社とデジタルプロダクトの開発者が手がけた作品で、凍死を防止するためのソリューションだ。
チームがその実情を調査したところ、ウルムではすでに防寒施設が整っているそうだが、ある特定の人々はこれを利用しづらいのだそうだ。というのも、狭い部屋にほかの多くの人と一緒にいることに精神的な苦痛を感じる人や、犯罪や暴力に巻き込まれるのを恐れる人がいるからだ。
そのほか、犬を連れている人、酒に酔った人や市内に住所がない人も法律の適用外となり、施設を利用できないとされる。
こうした人たちのために考案された「Ulmer Nest」は、一人用の睡眠ポッドである。材料には、コストやサステナビリティ、耐久性や断熱性を考えて木材を使用。
また、ポッドにはセンサーやコミュニケーションツールなどのテクノロジーも搭載。ユーザーの安全を見守るだけでなく、汚れなどからポッドを保護するためだそうで、GPSや温湿度計、煙・CO2センサー、ポッド内の動き検出装置、照明つきのドアロックモニター、警報装置、熱交換・換気システムはすべて、中央制御装置に接続・管理される。
モックアップの製作時には、「巣」のなかの居心地を確かめるためにVRも作り、「Ulmer Nests」という巣を市民のあいだで認識してもらうことを目指したそうだ。