NEWS | インテリア
2021.01.19 17:45
群馬県前橋市のアートデスティネーション「白井屋ホテル」では、現代美術作家の杉本博司と建築家の榊田倫之による新素材研究所に設計を委託した「真茶亭」が完成した。素材や職人技にこだわりぬいた新たな空間で、特別個室としてプライベートの会食や催事などに使用される。
室内の扁額にも揮毫されている「真茶亭」という名称は、同施設の奥に佇む茶室の壁の緑色、ホテルの周囲に溢れる自然の緑色と調和しながら、真の抹茶色を体現した土壁の色に由来。また、扁額は杉本によって揮ごうされたものだ。
内部空間は、柔らかく光を透過する積層ガラスのファサードによって、昼間と夜間で違う表情を見せるそうだ。この割肌が特徴的な積層ガラスは、厚さ19mm のフロートガラスを硝子職人の手で一枚一枚小口を割って表情をつけており、さらに、割肌の表情を読みながら、100枚以上のガラスを手作業で丁寧に重ね、壁として仕上げたという。
室内中央を占める無垢の杉材を使用したカウンターは、うつくしい杢目を、ボトルクーラーとして据えた石製立ち手水からこぼれる水の波紋の広がりと、波打っていく様に見立てている。澄んだ水の流れを喚起する杢目を選び、手水から自然に連なるよう工夫した。
正面に扁額を飾る土壁は、見切り材の枠を極力細くし、壁の色と馴染むよう神代杉を用いた刃掛け納まりとした。真の抹茶色とは何かを体現し、繊細な配合で顔料を混ぜ合わせた左官仕上げが施されている。