内藤廣建築設計事務所が設計を手がけた
「年縞」を展示・研究する「福井県年縞博物館」

▲写真提供:内藤廣建築設計事務所

福井県若狭町にある福井県年縞博物館は、若狭湾岸にある三方五湖のひとつである水月湖の湖底から採掘された、約7万年前の堆積地層である「年縞」を展示・研究するための施設である。

▲写真提供:内藤廣建築設計事務所

施設の設計を手がけたのは内藤廣建築設計事務所。建物は3棟からなり、年縞を展示する2階建ての展示棟と、その両脇には平屋建ての研究棟を配している。

▲写真提供:内藤廣建築設計事務所

▲写真提供:内藤廣建築設計事務所

敷地は三方湖の湖畔に位置していて、すぐ横には、はす川が流れている。また、湖の山を越えた先に水月湖があり、建物の軸がこちらに向くように直線的に配置されている。洪水が頻繁に起こる場所であることから、冠水の恐れがある1階はエントランスとピロティのみとし、2階を展示室とした。

▲写真提供:内藤廣建築設計事務所

細長いプランの展示棟には木造の切妻屋根が架かり、それとRC壁のあいだに鋼管トラスを介することで、明快な建築とした。

▲写真提供:内藤廣建築設計事務所

▲写真提供:内藤廣建築設計事務所

屋根架構は福井県産の木材を使うことが県から求められたが、積雪荷重を考えて、力の掛かるところに鉄骨を採用。木構造の独特の特性と、下部のRC造の特性の橋渡しをする役割を、この鉄骨が担っている。

▲写真提供:内藤廣建築設計事務所

また、1階のピロティは、RC造の柱と梁で構成。この柱の上には杉板の型枠を組んで、そこに鉄筋とシース管を敷いてコンクリートを打設し、養生後に緊張している。スラブは300㎡ほどあるが、1日で一体打ちをしているので、継ぎ目のないきれいなものに仕上がっている。End