NEWS | 建築
2020.12.17 16:03
戸田建設は、日本大学工学部と共同で、微生物を用いた「自己治癒コンクリート」の実用化に関する研究を行っており、このほど東京都江東区にある同社施設「南砂PJ研修センター」の擁壁部に初適用したことを発表した。
コンクリート構造物に発生するひび割れは、鉄筋の腐食による耐久性の低下や、美観を損なうことなどの原因となる。
そこで同社は、微生物の代謝活動によってコンクリートのひび割れを閉塞させることができる「自己治癒コンクリート」に着目。これは、微生物とその養分となる乳酸カルシウムをコンクリートにあらかじめ添加することで、発生したひび割れを閉塞させる技術である。
コンクリートにひび割れが発生すると、酸素と水が供給されることで微生物が活動を開始し、乳酸カルシウムを取り込み、炭酸カルシウムを生成することによってひび割れを閉塞する。
また、微生物はひび割れが閉塞すると活動を休止し、休眠状態となるが、再度ひび割れが発生すると活動を再開するという。
同社は、この技術により、コンクリート構造物の耐久性や美観を維持することができ、ひび割れに対するメンテナンス作業が不要となることで、構造物供用中の維持管理費用を低減できるとしている。