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2020.12.10 16:05
メディアアーティスト・落合陽一が率いるピクシーダストテクノロジーズ(PXDT)は、メルカリが展開する研究開発組織「mercari R4D(アールフォーディー)」との共同研究のひとつとして、国内の視覚障がい者およびそのサポーターを対象に、オンラインショッピング利用時のアクセシビリティに関するWeb形式のアンケート調査を実施した。
今回の調査は、視覚障がいを持つユーザの課題特定を行うためのもので、Eコマースにおけるインクルーシブデザインの共同研究の一環。2020年7月20日から9月22日にかけて実施。全国の15歳から76歳までの男女133人が対象となった。
これによると、購入目的でのオンラインショッピングの利用頻度については、全盲者・弱視者ともに90%近くが「たまに」「よく」「常に」オンラインショッピングを利用しており、利用の頻度が高いことがわかった。一方、まったく利用していない比率は、全盲者群で7%、弱視群で4%と低かった。
つぎに、オンラインショッピングで購入する物品については、全盲者群・弱視者群いずれも、食品・飲料(全盲者77%、弱視者70%)がもっともよく購入されていた。次いで電子デバイス(63%、50%)・家電製品(66%、52%)が多く、衣類(30%、41%)やインテリア(24%、37%)、アクセサリー(10%、13%)などの購入比率は低い値を示した。
そして、オンラインショッピング利用時に出くわす困難は、全盲者・弱視者ともに、「個別の画像説明」(「常にある」、「よくある」の合計:全盲者77%、弱視者65%)、「商品の質感」(同76%、76%)、「洋服のサイズや形状」(同83%、72%)、「デザイン、柄」(同60%、70%)などの把握が大きいことがあらためて浮き彫りになったという。
また、フリマやオークションなども含めた「売る側」としては、全盲者の25%、弱視者の42%が物品の販売を経験。ただし、対面で販売できる実店舗は全盲者にも利用が可能である一方、IT機器を利用しての販売・出品には困難が伴うか不安があるため、利用に慎重になっているという可能性を示唆している。
物品を販売していないグループでも、全盲者、弱視者ともに「手続きや操作が難しい、もしくは面倒だ」と回答した比率が8割程度と突出して高く、手続きや操作が簡単に行えるのであれば、物品の販売や出品を行いたいと考えていることが明確となった。