NEWS | 建築
2020.12.09 16:40
名古屋市中区にある名古屋テレビ塔は、1954年に完成し、2005年にタワーとして全国初となる登録有形文化財に指定された建築である。
しかし、2011年にアナログ放送が終了し、2019年よりタワーの再利用と免震装置の設置を含む大改修工事が行われ、ホテル「The Tower Hotel Nagoya」へとコンバージョンするプロジェクトが進められた。
今回は、京都の建築スタジオ FHAMSが1階の半分を占めるテラス付カフェ、2階の宴会場、4階のホテルロビー・客室・レストランの設計を担当。
名古屋テレビ塔は、60年の歴史において電波塔としての役割を終えたが、名古屋の象徴としての新たな存在意義を吹き込み、次の時代へと発信することを目指した。
建物がタワー(電波塔)である特性上、柱は角度のついたトラスで組まれた斜め材や補強柱などが縦横に入っており、設備のルートなどを踏まえると、かなりの制約があったという。
そこで、同スタジオはこれらを「隠す」のではなく、「魅せる」ことを方針とした。たとえば、耐火被覆がなされたトラス材が空間に現れることで、この空間はテレビ塔であるということを象徴。そして、これらを中心として、すべての空間をデザインすることとした。
この唯一無二の個性を活かすために、工事前にはスケルトン状態の空間全体を3Dスキャンし、3Dモデリングを行いながら、緻密に空間構成を実施。
タワーの構造をいかに「魅せる」かでマテリアルを選定し、家具やアートなどのスタイリングをクライアントと協議を重ね、変えてはならない後世に残すべき名古屋テレビ塔の魅力を最大限に引き出した空間が実現した。