日差しを受けると窓の色が変わる!?
米研究機関が新しいサーモクロミック技術を開発

▲ Photo by Dennis Schroeder, NREL

私たちは建物内で冷暖房をつけることが多いが、その最大の要因は窓から差し込む太陽光の熱だとされている。アメリカでは、すべての供給電力のうち74%を、全エネルギーの39%を住宅および商業ビルで使用しているという。

だが、窓を着色することによる遮光効果で、建物のエネルギー使用量を削減することができるそうだ。アメリカの研究機関である国立再生可能エネルギー研究所(NREL)はこのほど、新しいペロブスカイト材料の開発に成功したことを発表した。これにより、省エネを目的とした「サーモクロミック・ウィンドウ」の開発が新たな段階に進むことになるとしている。

同研究所が開発した「サーモクロミック太陽光発電(thermochromic photovoltaic)」という技術は、日差しの強い暑い日にガラスが熱くなると窓の色が暗く変わり、日差しを遮ってむだな熱を抑えてくれるというものである。

▲2017年実証実験の様子 Photo by Dennis Schroeder, NREL

さらにこの技術は、窓の色が変化することにより、いわばオンボード電源として電力を生成する機能も備えているのが特徴だ。つまり、サーモクロミック・ウィンドウを取り付けることで、建物自体が電力を生み出せるようになるのだ。

そこで重要となるのがペロブスカイト材料である。窓が透明から色つきに変わると内蔵されたペロブスカイトが発電するので、太陽光を活用するのにはうってつけの結晶構造だとされる。

今回の取り組みでは、2層のガラスのあいだに薄いペロブスカイト層を挟み、蒸気を注入。この蒸気により、ペロブスカイトが鎖状やシート状、立方体などさまざまな配列に変化して着色され、湿度が下がるとペロブスカイトはもとの透明な状態に戻ることになる。

また、これまでのものよりも幅広い色が出せるようになり、色の変化を起こす温度もおよそ35~46℃とより低くなって、なおかつ色の変化にかかる時間も3分から約7秒に大幅に短縮されたそうだ。End