伊大理石専門メーカー「マルソット」のため
nendoがショールームをデザイン

▲Photographer:Hiroki Tagma

伊ミラノ・ブレラ地区にある大理石専門メーカー「マルソット(Marsotto)」のショールームのデザインを、佐藤オオキが率いるnendoが手がけた。地上階と地下階からなるショールームで、大理石製の家具や雑貨のほか、加工サンプルなどを展示している。

▲Photographer:Hiroki Tagma

1階のエントランスに据え付けられたのは、階段室を覆う「大理石製のメッシュ」のようなパーティション。直径65mmのドットで切り抜いた厚さ10mmの大理石を2層貼り合わせ、ガラスで挟み込んで作成、適度な透過性と軽さがあり、圧迫感を軽減。来場者を地下の展示スペースへと柔らかく誘引する。

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

一方、地下は大理石自体の魅力を感じられるような空間構成で、4室に分かれており、大小さまざまな大きさの「ステージ」を5個設置。多様な展示レイアウトに柔軟に対応し、なおかつ展示物の繊細な手仕事や質感をできるだけ引き立たせるために、3枚の白い面がそれぞれ垂直に接続されたステージとした。

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

さらに、最奥部のコーナーはなだらかに溶かしたことで、まるで撮影スタジオのホリゾントのように光を柔らかく拡散しながら、ステージの奥行き感が薄れて、展示物への意識が強まるようになっている。

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

地下のもっとも狭い部屋には円形のステージを設置し、手に取れる石材サンプルを壁に差し込んでいる。その下にはそれぞれ異なる仕上げをしたスツールを並べた。いずれも形状を統一することで、仕上げの差を強調しているそうだ。

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

細長い部屋にはマルソット社のキッチンとダイニングテーブル、壁面には自由に棚板を差し入れできるシステムシェルフ「Place」を全面にあしらい、展示スペースだけでなく、ランチミーティングやイベント時のケータリングスペースなど、多様な使い方が可能だ。

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

また、ショールームのファサードは全面大理石だが、既存の建物の外装と目地を揃えることで、周辺環境との調和と埋没しない存在感とのギリギリのバランスを意識。

▲Photographer:Hiroki Tagma

▲Photographer:Hiroki Tagma

この店舗が面するロータリーが近い将来に緑化され、小さな公園となる計画があることから、ファサードを公共の「家具」になることを目指して、一部に柔らかい凹みを設けてベンチのように誰でも腰掛けられるようにした。End

▲Photographer:Hiroki Tagma