NEWS | テクノロジー / 建築
2020.10.07 15:55
ロボット工学やソフトウェア、建築資材など高度な建設技術を開発する米ICONは、米政府による中小企業技術革新研究プログラム(SBIR)に選ばれたことを発表した。
今回の「Project Olympus」にはNASAからの資金提供が含まれるそうで、将来的な月探査を支援するため、宇宙空間での建築システム「Olympus Construction System」の研究開発が行われるという。
NASAが進める「アルテミス計画」では月面での持続的な駐留・探査を目指しており、そのためにはロケット以外の生活空間の建設が必要となる。そして、熱や放射線、流星塵に対して、金属製や膨張式の居住スペースよりも優れた防護性をもつ堅固な構造物が求められている。
そこでICONは、建築設計事務所 BIG(Bjarke Ingels Group)、および宇宙探査で人間をサポートするデザインを開発するSEArch +(Space Exploration Architecture)をプロジェクトパートナーに据えることに決定。
地球上の住宅建設のための先進3Dプリント技術をもつICONは今後、アラバマ州ハンツビルにあるNASAのマーシャル宇宙飛行センターとともに、さまざまなプロセッシング技術やプリント技術を駆使しながら月の土壌をテストすることになる。
2018年に開催されたNASAの「3D Printed Habitat Challenge」で披露された「ICON」テクノロジーをベースに、このテストを通じて、月面でのインフラを実現できる本格的な3Dプリント建設システムのプロトタイプ要素を設計、開発、実証することになるそうだ。
BIGを率いるビャルケ・インゲルスは、「『formgiving』という言葉は、デンマーク語でデザインを意味します。まだ形がないものに形を与えることで、建築がもつ力をよく説明しています。このことは、私たちが地球を飛び出して、まったく新しい世界で建物を作り生活する方法を考えはじめたときにはっきりとするでしょう」と語る。
続けて、「ICONを通じて、私たちは物質、技術、環境のすべての面で新しいフロンティアを開拓することになります。地球上で生じている課題の答えは、月面において見つかることも十分にあり得るでしょう」とコメントを寄せている。