NEWS | サイエンス
2020.09.29 15:30
写真家がワイドなパノラマ写真を撮影するときには、魚眼レンズを使用するとされる。この魚眼レンズは、湾曲したレンズを用いた超広角レンズで、180度以上のワイドな画像が撮影できるのが特徴だ。ただ、コンパクトなサイズにできず、製造コストがかかるのが難点だった。
そこで、マサチューセッツ工科大学とマサチューセッツ大学ローウェル校の技術者が、世界初となるまったくフラットな広角レンズを開発した。
今回技術者チームが手がけたのは「メタレンズ」と呼ばれるもので、ウェーハのような薄い材料を使用。その表面には非常に細かいパターンが施されており、そこに光が集まるという仕組みだそうだ。
フラットで極薄、片側だけミクロ構造を備えたレンズ1枚で、入射光をきっちりと散乱させてパノラマ画像を生成することができ、従来の湾曲した複層ガラスの魚眼レンズと同じ効果が得られるとしている。また、今のところは光のスペクトルのなかでも赤外線にだけ対応しているが、可視光線への対応も可能だという。
今後の用途としては、スマートフォンやノートパソコンに搭載したり、内視鏡などの医療用カメラ、VRデバイス、ウェアラブル機器などに活用したりすることを期待している。