NEWS | 建築
2020.09.14 16:33
中国広東省の羅浮山に先ごろ完成した「Aluminum Mountain」は、展示センター「Traditional Chinese Medicine Health Industrial Park Exhibition Center」(罗浮山平安中医健康产业园展示中心)として建てられた建築である。
設計を手がけた上海の建築オフィス Wutopia Labによると、敷地を訪れたとき、霧があたりに立ちこんで激しく雨が降ったが、突然やんで目の前に道教の有名な羅浮山が忽然と現れたという。
この体験にインスピレーションを得て、「一池三山」とよばれる中国の古い庭園建築をヒントに、この世の楽園ともいうべき現代の「一池三山」となる展示センターを目指した。
道教と太極にもとづいて、山を作るためのベースとなるデザインとして円形や円錐形を採用。細く区切ったアルミ板を使うことで、山の軽さを表現している。
さらに、穿孔率が45、60、70の3種類のアルミニウム板を使用しているそうで、上から下に向かって密から疎になるように並べている。これにより、山は重々しく見えることも多いのだが、特定の角度から見たときにはその大きな外観が失われるという。
夜になって明かりが灯れば、この山は形がなくなり、巨大なランプに変身。6本のコンクリート柱で支えられた金属製の屋根の下に発光フィルムを設置することで、山は空に浮かんでいるように見えるのだ。
最大10mのカンチレバー構造と30トンの鉄製トラスにより、微妙に浮かんだ山を表現。 11.9mもあるらせん階段は、地下から頂部まで移動できる独立した構造とした。
また、第三の山へと至る水路も設計。訪れた人は円形のレセプションホールで車を降り、ガラス張りのU字型の桟橋で赤いボートに乗りかえ、咲きほこる花のような池の小島のあいだを抜けると山の底部に到着、そこから階段やトンネルを通って屋内に入ることができる。
内部は、ホワイエ、展示室、ビデオルーム、会議室、模型展示場、アートギャラリー、オフィス、トイレなど、円形の地下空間が連続しており、バブル状の迷路のなかで訪れた人は時間と空間の感覚を失うことになるだろう。