長野・佐久地域の信州カラマツを全面採用
建築家 遠野未来による「土の建築」コンテナハウスRed Container

▲ Photo:takeshi noguchi

遠野未来 遠野未来建築事務所が設計監理を手がけした長野県佐久市の「Red Container」は、地域木材のカラマツをPRするためにつくられたコンテナハウスである。二代目 桐原建設が施工を行い、床面積9.9平米、約2.3x5mの大きさで、鉄骨土台の下に鉄のパイプを入れると、4tトラックで移動することができる。

▲ Photo:takeshi noguchi

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1999年から約20年間、遠野は日本と世界各地で土と左官による建築プロジェクトを行っていた。「人間の手で、大地に根ざした生命力のある建築をつくりたい」という思いから、土の建築の様々な構法に取り組んできた。そこで、2018年に竣工したShell Houseはその一つの集大成である。「大地から生まれ、大地に還る」ことをテーマに、長野の木と土を使い、合板・集成材を使わず無垢の木と土で、前例のない曲面・左右非対称の形状を日本の伝統構法の木組みを応用して実現させた。

▲ Shell House, Photo:takeshi noguchi

今回のRed Containerでは、美しい赤色と木目が特徴の信州カラマツを採用した。丸太の柱・梁の構造材、床・壁・軒天・家具など、天井以外はすべて信州カラマツで仕上げられ、素材と空間を体感することができる。

▲ Photo:takeshi noguchi

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天井のみ木組のカラマツの赤色の梁と対比させるため、あえて地域産の色白のサワラを採用した。屋根形状は、南佐久の豊かな風景とカラマツがらせん状に成長することをイメージして、3次元的に緩やかにねじれたものだ。

▲ Photo:takeshi noguchi

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その内部は地元の伝統工法の心得がある大工が手刻みによる木組み現しとし、とくに地元の人が抱きがちな「カラマツがねじれるのではないか」という不安を払拭することを目指した。

▲ Photo:takeshi noguchi

▲ Photo:takeshi noguchi

さらに、床材として通常使われない青材(菌による変色材)を使い、内壁は見附30ミリのカラマツ材を凹凸を付けて貼るなど、色が濃く平滑で重い印象になりがちなカラマツの新たな表現を試みている。

▲ Photo:takeshi noguchi

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また、腰壁・飾り壁の一部には、アクセントとし地元・長野県北相木村で採取した土による土壁を採用し、空間の雰囲気を和らげているほか、カラマツによるスツールやイス、ペンダント照明も設計した。

▲ Photo:takeshi noguchi

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このコンテナハウスは今後、佐久地域のお祭りやイベント時にカラマツのPRハウスとして使用する予定。オーダーメイドで店舗・離れなどさまざまな用途に対応できるそうで、アレンジして他地域での活用や展開も検討している。End

▲ Photo:takeshi noguchi

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▲ Photo:takeshi noguchi

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