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2020.09.03 15:21
どこにでもあるような紙をベースとする多機能電子機器は、低コストで環境にやさしく、軽量で柔軟性があるなどのメリットがあるので、その開発が期待されているという。
しかし、こうした紙ベースの電子機器は、湿気によってすぐに劣化したり、バッテリーへの負荷が高かったり、既存の大量生産技術との互換性が限られているなど、開発には大きな課題が残されているそうだ。
こうした問題に対して、米パデュー大学の研究チームFlexiLabは、湿気の影響を受けない、紙ベースのフレキシブルな電子機器を開発したことを発表した。
この「RF-SPEs」と呼ばれる電子機器は、水に対して濡れを起こさない「オムニフォビック(omniphobic)」なもので、水分や液体汚れ、ほこりを受けつけず、さらには自己給電が可能で完全にワイヤレスなものである。
製造方法は、セルロース紙の表面にアルキル有機シラン(alkylated organosilanes)、導電性ナノ粒子、強い電子親和力をもつポリテトラフルオロエチレン、弱い電子親和力をもつエチルセルロースを順番にスプレーで定着させることで、すぐに完成するとしている。
軽量で、コストは1デバイスあたり0.25ドル(約26円)もかからず、電力密度は最大で300μW/cm2となる。柔軟性があり、折りたたんでも曲率半径は0.3mmと優れた安定性を誇る。印刷プロセスもシンプルなので、マンマシンインターフェースのユビキタスな実装に向けて、大量生産も可能なのだそうだ。