NEWS | インテリア
2020.08.25 16:36
シューズメーカー「ムーンスター」は2020年6月、旗艦店「ALSO MOONSTAR」を福岡・薬院にオープンした。
下川徹が率いるTORU SHIMOKAWA architectsは、店名で表現したものづくりのスタンスを店の佇まいに落とし込んだ店舗設計を行った。
ムーンスターのものづくりの哲学を体感できる場所である同店は、「~も」「また」「そして」「さらに」という意味の副詞・接続詞「ALSO」がコンセプト。
ムーンスターは1873年の創業以来、久留米の自社工場で靴を生み出し続けている。その歴史ある工場を訪れると、建築の経年には圧倒的存在感があるという。その中で数百人の職人が丹念に靴をつくる情景が下川の心に残り、商品となる靴の背景を深く知る機会につながったそうだ。
とはいえ、同氏が体感した工場の物理的要素を直接ショップで表現することは浅はかであるとし、背景を精神的に伝える空間作りを目指した。
そして、ムーンスターの真摯なものづくりへの姿勢と同じように、日本建築の基盤である大工・左官・庭師を主体とした、惜しみない手間をかけた本質的なつくりを試みた。
素材はすべて、職人が時間と手間をかけて生み出した量感あるもので、それらが共鳴する様は人の情緒的な感覚に響くことになる。そこにムーンスターの技術を混成させることで、唯一無二の佇まいをもつ空間となり、同ブランドの新たな歴史となる店舗ができあがった。