当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。
“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。
今日のトピック
タイのデパートCentral Worldが、自粛から営業を再開した5月17日、コロナ感染対策用にロボット2機を導入。1機は、買い物客の検温をする「Robot for Care」、もう1機は、アルコール消毒液のディスペンサーを運ぶ「AIS K9」です。
SPREADはこう見る
「Robot for Care」と「AIS K9」は、タイの大手通信会社 Advanced Info Service が運営するロボットです。
「Robot for Care」は、今まで店員が行っていた検温を行い、37.5度を超えた場合は警報を鳴らし入店を防ぎます。「AIS K9」は四足歩行型で、背中に乗せた消毒液のディスペンサーを買い物客の元へ運びます。この2機には高速・大容量の次世代型通信規格である5Gが使用されています。Central Worldは、このほかに紫外線でウイルスを殺菌するロボットを導入し、店内の消毒を強化して営業を再開しました。
慣れないうちはロボットたちが奇異に感じるかもしれませんが、おかげで人同士の接触は減り、安全な商業施設の運営に役立ちます。
最近、施設の入り口が一部閉鎖され、入場場所を制限している状況をよく目にします。入場者数の管理や検温、アルコール消毒の徹底のためでしょう。これに人手を費やすのではなく、「Robot for Care」や「AIS K9」のようなロボットを利用すれば効率的かつ円滑な対応が可能となるでしょう。
実は数日前、たまたま外出先でロボットを見ることがありました。
子供と一緒に行ったDennys で見慣れないものの動きを感じると思ったら、ロボットが注文した料理を運んできたのです。
あとで調べてみると、韓国を拠点とするスタートアップ企業 Bear Robotics が開発した配膳ロボット「Penny」でした。AI が搭載され、進行方向にいる人間の数を検知することで店内を滞りなく移動することができ、コロナの流行前から Dennysでは一部店舗にのみ導入していたようです。工場や医療現場など、ロボットが社会に普及していることを情報として知ってはいましたが、なんの変哲もない日常に突然現れるとビックリします。
パンデミック以前から使われていたロボットですが、コロナウイルスを機にさらに活用する場が増えているようです。珍しさを感じるのは本当に最初の頃だけで、あっという間に日常的な光景になっていくことでしょう。
Advanced Info Service
タイを拠点とする大手通信会社。国内でもっとも大きい通信会社の1社。
Bear Robotics
韓国を拠点とするロボット工学を専門とするスタートアップ企業。2017年設立。