ワクチンの開発状況をわかりやすく
伝える。日経電子版の「分かる
教えたくなる コロナワクチン開発」

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。

今日のトピック

日経電子版は、新型コロナウイルスワクチンの開発競争の状況をわかりやすいビジュアルと共に紹介する「分かる 教えたくなる コロナワクチン開発」を公開しました。

SPREADはこう見る

本連載では、コロナ渦における多種多様なクリエイティブ・アクションを紹介していますが、開発がいちばん望まれているのは、ワクチンです。しかし、コロナが蔓延した当初から、一説によれば、ワクチン開発には2年はかかると言われていました。その開発状況については時たまニュースで見聞きするものの、実際どこまで進んでいるのか、全貌については把握しづらいものです。

そんななかで、ビジュアルと共にわかりやすくまとめているのが日経電子版の「分かる 教えたくなる コロナワクチン開発」です。内容は、3つのトピッックで構成されています。

TOPIC 1:「開発レース、先頭集団は?」では、開発者とワクチンのタイプを紹介。ナノ粒子に組み込むRNAワクチンの開発スピードやハードルの高さを知ることができます。

TOPIC 2「ワクチン、国家の主導権争いに」では、投入資金や論文の数など米中の熾烈な開発競争を紹介。

TOPIC 3「ワクチンは巨大ビジネス」では、ワクチン開発で生じる市場の動向と予測。

開発のプロセスは、Topic 3で説明されています。一般的に創薬から臨床試験、承認・実用化に至るまで5~10年、コストは1000億円以上がかかる例もあるが、AIの活用や政府支援で短縮を計っていることがわかりやすく読み込めます。

この記事を読みやすくしているのは、イラストの効果によるものです。立体的に描かれたワクチンのボトルや注射器などが、少しリアルではありますが、必要以上に質感などを加えることなく親しみやすさを感じるタッチにまとめています。そのイラストが見出しや本文を引き立てつつ、読み手に優しく記事の情報を伝えるのです。

先日、ロシアのガマレヤ国立研究所で世界初の新型コロナウィルスのワクチンが承認されたとのニュースが飛び込んできました。最終段階の臨床試験が続行中とのことですが、今回の日経電子版の記事にあった、臨床試験の第3相試験が行われていない状況で承認されたとのこと。第3相試験は、大規模な被験者で効果を分析する大切なステップです。開発が早く進むにこしたことはないのですが、一方で急ぐことでの副作用のリスクも各所で問われています。ワクチンの動向を人々が広く理解するために、日経電子版のようなよくわかるまとめは大変有用です。End

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。