盲導犬の代わりに視覚障害者をナビゲート
英学生が自動経路探索デバイスを開発中

世界中には、2億5300万人以上の視覚障害者がいるとされる。そのうち、盲導犬を使う人はごくわずかだそうで、大多数の人は白杖に頼らなければならないのだそうだ。

また、盲導犬を使いたくても、アレルギーや費用、家の大きさなど、ユーザーのライフスタイルと一致せずに利用することができないという人もいるという。

そこで、英ラフバラー大学(Loughborough University)の学生 Anthony Camuさんが、盲導犬を飼えない視覚障害者向けの自動経路探索デバイスのプロトタイプ「Theia」を開発している。

VRゲーム機にヒントを得たという片手で持てるデバイスで、屋内でも屋外でも利用でき、入力操作もほとんどないなど、ハンドヘルドの盲導犬ロボットとしての役割を果たしてくれるものである。

自動運転車をモデルに、楽な運転感覚を歩行システムに変換することが目標で、「ねえ Theia、私を○○に連れて行って」と言うだけで、目的地までのルートを計算。歩行者と車が行き交う密度や天気など、リアルタイムデータをオンラインで処理して、ユーザーを目的地まで正確かつ安全に案内してくれるという仕組みだ。

デバイスにはLiDARと複数のカメラを搭載し、周囲の状況を3次元画像としてキャプチャするのが目標だそうで、高性能のプロセッサが最適な経路を決定、「1.4 m/sで左折」といった個々のコマンドに分割していくことを想定している。

また、こうした情報を視覚障害のあるユーザーにいかに伝達するか、ということも課題となる。たとえば、盲導犬のハーネスを通じてユーザーはその動きを把握するが、Theiaにおいてもユーザーがグリップから速度や方向、振動といったあらゆる細かい感覚を読み取り、誘導してもらっている感覚を得られるようにしたいそうだ。End