当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。
“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。
コロナをめぐる現在までの動きを年表にまとめてみた(国内新規感染者数の推移と一緒に)。あのときどんな状況だったかすぐ分かるように…。 pic.twitter.com/ofsIZ8oOix
— yamakai (@yamakai74) May 5, 2020
今日のトピック
横浜市在住のDTPオペレーター、yamakaiさんは、自身のTwitterで、コロナウイルスを巡る日本の動きを年表にまとめ、5月5日に公開しました。4万を超えるリツイート、10万近くのいいね!が寄せられています。その後6月23日には更新版も投稿しています。
SPREADはこう見る
今までなぜこのような年表がなかったのか。そう思ってしまうほど良くまとめられた年表です。
この年表では、感染者数の推移とともに世界の動向や日本のできごと、地方自治体の動き、政府の施策の4項目の情報を重ね合わせて見ることができます。ピックアップされたできごとは客観性があり的確です。例えばWHOの緊急事態宣言が公表された1月30日、東京オリンピックの延期が決定した3月24日、国内死者数が500人を超えた5月2日などが記されています。
情報の密集密接を避けつつ(ご本人の表現)、分かりやすさに徹した内容です。情勢の選別から表現方法まで、客観的な視点が見事です。コロナ渦で自分や会社がどう動いたかを、プリントしたものに記録する目的で作成されたようです。マスクのつけ始めや、時差出勤など、自分なりのできごとを書き込んでみては、と自身のTwitterで紹介されています。
yamakaiさんは普段から、iPhoneの機種の違いやiPhone装備の「〇〇モード」の違いなどの情報をグラフィックにまとめてTwitterに数多く投稿しています。現在は休止中のようですが、2010年12月1日から電子書籍情報まとめノートを運営しているようです。情報の整理に精通されているからこその、今回の年表のクオリティに納得します。
また、yamakaiさんの職業がDTPオペレーターであることに注目します。もしグラフィックデザイナーがこの年表をつくったら、ここまで分かりやすいビジュアルにできただろうか?もしかしたらデザイナー特有の美意識が邪魔をするような気がしないでもありません。DTPオペレーターという職業は、条件に沿ってレイアウトすることがメインで、デザインを一から制作することが少ないイメージでしたが、情報整理とビジュアライズのスキルを持ち、作業の正確性が高い方々です。彼らの技能は、今後より社会に求められるように感じます。