ハーバード大学の研究機関、温度に応じて収縮・膨張する
スマートテキスタイル「Smart Thermally Actuating Textiles」を開発

▲Credit:Wyss Institute at Harvard University

米ハーバード大学の研究機関 Wyss Instituteはこのほど、新しく開発したスマートテキスタイルを公開した。研究チームによると、温度に応じて生じる「気液相変化」(気体と液体のあいだの相変化)によって、収縮や膨張ができるテキスタイルなのだそうだ。

この「Smart Thermally Actuating Textiles(STATs)」はソフトロボット向けに開発されたもので、メカノセラピー(機械的療法)の新しいデバイスになることを期待しているという。

STATsはウェアラブルなものではないが、これを使うことで、筋肉や活性化した神経線維といった組織の損傷の修復をサポートしたり、正確な位置に適切な頻度で物理的な力を加えることで組織の損傷を防止したりできるようになるとしている。

▲Credit:Wyss Institute at Harvard University

従来のテキスタイルベースのソフトロボットは、空気圧で作動するものが多かった。この場合、チューブが邪魔になったり、外付けのコンプレッサの音がうるさかったり、形状や動作を変えるために内部の空気圧を調節しなければならなかった。

そこで、STATsでは、気液相変化を電気的にコントロールすることで、空気圧を調整することができるようになるのだ。

その仕組みとしては、「Novec™ 7000」と呼ばれる高機能性液体を小さなパウチに密封。電気で熱を加えることでこの液体が気化し、体積は100倍にまで膨張する。これを冷却すればテキスタイルは収縮することになる。またパウチは、センサー層、ヒートシールする熱可塑性シート、テキスタイルベースのヒーターの3層構造になっている。

今後は、車いすや病院のベッドで長時間を過ごす患者の褥瘡(床ずれ)を防止するために、一定のパターンで圧力が加わるクッションを作り、組織の修復を速めるデバイスにしたいそうだが、ファッション業界ではダイナミックな衣服にしたりと、幅広い活用方法を見込んでいるようだ。End

▲Credit:Wyss Institute at Harvard University

▲Credit:Wyss Institute at Harvard University