NEWS | 建築
2020.07.08 15:15
スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)にある「Gramazio Kohler Research」は、デジタル製造技術を用いることで建築の作製要件がどのように変化するのかを調べる研究機関だそうだ。
同研究所が手がけたキャノピー「Future Tree」も、複雑な木造建築とデジタルコンクリートについて研究するために作られた、ひときわ目をひく構造物である。非標準的なコンクリート構造物を効率的、経済的、持続的に製造する方法を使った、はじめての事例なのだそうだ。
スイス・エスリンゲンにある建築コンサルティング会社 Basler&Hofmannのオフィスビルの中庭に登場したこのキャノピーは、水平に広がる王冠のような構造をしており、380もの木材を使用して形成されている。
これを支えるのが中央のコンクリート柱で、横に建つ建物の2つの側面に固定することで、キャノピーは片持ち構造になっている。
フレームの形状は、それぞれのつなぎ目にある開口部を変化させることで曲げ剛性を変え、片持ち部分でより高い剛性を発揮するように、構造的挙動を考えて作られている。
一方、中央の鉄筋コンクリート柱は、ロボットアームを使って3Dプリントで、厚さ1.5mmの超薄型の型枠を作り、そこに速硬コンクリートを流し込んでいる。
この新しい製造プロセスは「Eggshell」と呼ばれるそうで、非標準的な構造物を最適化してコンクリートで作れるようになり、なおかつ標準的な補強材を組み込むことで無駄な型枠を最小限に抑えることもできるという。また、コンクリートが水和したあとは、薄い型枠ははがしてリサイクルが可能だそうだ。