インドの警察官が独断で実行
コロナウイルス型ヘルメットを
被って市民に注意喚起

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。


今日のトピック

インドの警察官ラジェシュ・バブさん(Rajesh Babu)が、地元アーティストB.ゴッサムさん(B.Gowtham)と協力してコロナウイルスを模したヘルメットを制作。これを被って外出する人々に注意喚起を行いました。

SPREADはこう見る

このヘルメットは見た目も奇抜なのですが、それよりも驚いたのがこの活動がひとりの警察官が独自に始めたということです。インド全体でロックダウンが敷かれてからも車両での移動が止まず、ウイルスの恐ろしさと自宅待機を啓蒙した行動は良いことです。しかし、自分の頭をコロナウイルスに見たてるという手法を、国家公務員である警察官が自らの独断で行うことはなかなか考えられません。

しかもこれだけでは終わりません、バブさんのとったこの行動がインドの複数の都市の警察に広がりました。西部にあるスラト市の警察は、ウイルス型ヘルメットを被り、コロナウイルスの赤いトゲを模した棒と盾を装備し、都市封鎖が続く間の自宅待機を市民に促しました。

これは日本では起こりそうもない展開です。未曾有の状態では何が正しい対応なのか、誰もわかりません。「警察官が自らの独断」と聞くと本来なら批判されるでしょう。しかし、一見冗談のように思えてしまうこのような広がりも、膠着した状況を突破できる結果が出ればそれが正解になりえます。一般的に外出自粛中に外に出る人々を警察官が注意喚起を呼びかけることはありますが、この活動のようにコロナウイルス感染予防の広報活動にまで警察が踏み込んでいるのはレアな事象と言えそうですEnd

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。