SF映画などにおいて、写真に映り込んだぼやけたごく小さな人物を拡大して、真犯人を特定するという場面を見かけたことはないだろうか。こうした低解像度の画像から高解像度の画像を作り出す、という取り組みを米デューク大学の研究チームが取り組んでいる。

同チームが開発したのは、「PULSE」（Photo Upsampling via Latent Space Exploration）と呼ばれるAIアルゴリズムで、低解像度の顔写真画像から、これまでの8倍をはるかに超える、64倍も鮮明な高解像度の顔写真画像が作り出せるようになるそうだ。

従来の方法では、データベース上にある低解像度と高解像度の画像ペアを使った機械学習（いわゆる「教師あり学習」）によって、低解像度のものにディテールを加えていくことが行われていた。ただし、この方法ではぼやけた部分がどうしてもできてしまう。

一方、PULSEの場合、あらかじめ作成した高解像度画像をもとに、これを見合った低解像度にダウンスケールした画像を探していくという方法を取る。研究チームによれば、これには敵対的生成ネットワークによる自己学習を用いているという。

もちろん、できあがった超高解像度の画像はAIが作り出した架空の顔写真であり、それが誰かを本当に特定できるものではないとしている。また、公開された動画では、医学や天文学、顕微鏡を使った検査、衛星画像といった分野での応用が可能だと説明している。