汗を分析する次世代ウェアラブルデバイス
米ノースカロライナ州立大学が「紙ベース」のデバイスを開発

体を傷つけない「非侵襲」の医療検査を行うとき、人間の「汗」は大事なものだそうだ。というのも、汗には複数の生体分子が含まれているからである。とはいえ、汗を分析するのは高コストのことも多く、デバイスの信頼性も一定期間しか得られないという。

そこで、米ノースカロライナ州立大学の研究チームは、汗の収集・運搬・分析ができる次世代ウェアラブルデバイスのモデルとなる、電源のいらない安価な紙ベースのデバイスを開発した。

汗を分析するときに問題となるのは、塩分を含んでいることである。この塩分は、水分が蒸発することでデバイスに付着してしまい、流体が流れなくなってしまって、分析ができなくなるのだ。

これに対して、研究チームが開発したデバイスは、たまった塩分の結晶を紙パッドに高濃度で閉じこめることができるもの。植物が水を吸収するような「毛細管現象」と呼ばれるプロセスを使うことで、水分を蒸発させながら、最大で10日間以上もセンサーに人間の汗に似た流体を吸いとることができる。

▲紙パッドの構造設計

また、これにより、化学物質がどのタイミングで汗のなかに現れるのかを分析する方法にもつながるとしている。

▲CREDIT: Orlin D. Velev and co-authors, NC State University

つまり、患者の汗には長期間にわたってバイオマーカーや薬物代謝物がしみ出しており、これが紙パッドに取り込まれることで、後で分析するときにタイムスタンプを押したようにその過程がわかるのである。そして、このデバイスは、疾患の経過を評価したり、患者が正しく薬物療法を行っているかを評価するためのウェアラブルパッチとして使用することもできるとしている。End