マスクをしても表情のコミュニケーションを妨げない
スイス研究機関が透明な「Hello Mask」を開発

▲Visualization:EPFL

スイス連邦材料試験研究所(Empa)とスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームは、まったく透明なサージカルマスク「Hello Mask」を開発したことを発表した。ヘルスケア・スタートアップの「HMCARE」が製品化を手がけるそうで、製造工程の開発に100万スイスフラン(約1億1300万円)の資金調達にも成功している。

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、フェイスマスクで口元が隠れてしまい、声が聞き取りにくかったり、表情がわからなかったりと、コミュニケーションが難しくなったと感じた人も多いだろう。

▲Image:EPFL

とくに子どもや高齢者、聴覚障害者などにとっては、コミュニケーションに妨げとなる大きな問題となっていた。そこで、EmpaとEPFLの研究チームはこの2年間、透明なサージカルマスクの開発に取り組んできた。

マスクを作るバイオマス素材はすでに完成しており、市販化に向けてHMCAREを設立。製造工程の開発に取り組んでおり、2021年初頭の販売に向けて議論を進めているという。

▲HMCARE CEOのThierry Pelet氏(左)とEPFLのKlaus Schönenberger氏 Image:EPFL

この「Hello Mask」は主に医療従事者向けで、表情が見えるようにして、患者とのコミュニケーションを円滑に進めることを目的としている。また、特別に開発されたポリマーの膜を使うことで、透明なだけでなく、耐性や多孔性も確保するなど、機能性も備えている。

▲Image:EPFL

さらに、使い捨てになることを見越して、リサイクル可能なものや生分解性のあるものの開発が目標となった。そして、99%バイオマスベースの素材が完成。100%環境にやさしいものになるまで開発を続けるとしている。End

▲Image:EPFL