当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。
“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。
今日のトピック
アーティストであり人権活動家のAi Weiweiが、医療・人道援助活動を行う団体をサポートするため「Ai Weiwei Mask」プロジェクトを行なっています。マスクを使ったアート作品を販売し、その収益すべてがHuman Rights Watch、Refugees International Médecins Sans Frontières、Doctors without Borders(MSF)の3つの団体に均等に寄付されます。プロジェクトは5月28日から始まり、現在もオークションサイトで販売が続けられています。
販売されているマスクは、3種類。「Mask with Middle Finger」(木版)。「Sunflower Seeds」(シルクスクリーン)、「Feishu(中国の神話上の動物)」(シルクスクリーン)。価格は、単品で約5,400円、他に4枚セット(約32,000円)、20枚セット(約160,000円)もあります。
SPREADはこう見る
Ai Weiweiは言います。「COVID-19のパンデミックは、人としてどう行動すべきかが問われる大きな危機だ。状況を少しでも好転させるためには、現状を理解し自ら考え行動することが求められる。その個人の行いが結集すれば、社会を構成する自治体や国がウイルスと戦う力となる。ウイルスから身を守るための対抗策は、一人ひとりがマスクをつけること。皆が協力して1つの行動を貫く社会は、あらゆる困難に立ち向かえる可能性がある。」
Ai Weiwei Maskの収益は、販売開始から24時間で5,400万円に達しました。その後、6月2日時点で1億1000万円を突破。日々確実に成果を上げ続けています。参考までに、6月2日時点で一番人気は、中指を立てたもので4697点、次にひまわりの種が2561点、そして「Feishu」が491点と続いています。Ai Weiweiのインスタグラムには、購入者がマスクをつけた写真がいくつか投稿されています。
メッセージ、表現手法、これまでの活動との繋がり、タイミング、販売価格、収益の寄付。そして、アート作品を手にできる購入者、支援を受ける活動団体、その団体が支援する人々、すべてに喜びが生まれる点が見事です。完成度の高い尊敬すべきプロジェクトと言えます。さっそく私もポチッと購入しました。皆さんもこの機会に参加してみてはいかがでしょうか。
ai weiwei
アーティストであり人権活動家。1957年に北京で生まれ、現在はベルリンを拠点にアーティスト、映画製作者、ブロガー、人道主義者など様々な分野で活動している。