当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。
“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。
今日のトピック
イタリアのインテリアデザインスタジオ「TOSCA DESIGN」とミラノを拠点とするデザインスタジオ「Opaca Lab」が、コロナ禍でも楽しく、リラックスした生活を彩るためのパーテーションシリーズ「Collection C.19 – Wall for Life」を発表しました。
SPREADはこう見る
「Collection C.19 – Wall for Life」は、コロナウイルスの感染予防をきっかけに制作されました。デスクの上に乗せて使うタイプやベンチの仕切りに使うタイプなどいくつかシリーズがありますが、なかでも屋外での使用を想定した「SUNSET」シリーズが目にとまりました。4人で座るテラス席ほどのスペースを仕切ることができます。パネル部分はプレキシガラス製で、日光や雨風で劣化しないようワニスで保護加工されています。
パーテーションやシールドの多くは透明な素材が使われています。一見透けているほうが視界も良く開放感がありそうですが、光の反射の影響なのか、かえって存在感を感じるものもあります。「SUNSET」シリーズのカラーバリエーションはその名の通り、落ち着いたイエローやオレンジが使われていて、その色調はイタリアの町並みに自然に溶け込みます。また、大きなガラス板を支えるためフレームは頑丈でなくてはなりませんが、下部の切り取られた曲線のほどよい抜け感により、全体を軽やかに見せています。そのため高さ180cm、横幅150cmと大きいサイズであるにもかかわらず、空間に閉塞感を感じさせないのだと思いました。
コロナウイルスの感染予防のため、パーテーションの需要が増え、街中でもよく目にするようになりました。当初は緊急性があったため、スピード最優先で準備されましたが、これからは、完成度の高いものが登場してくる段階に移行していると思われます。「Collection C.19 – Wall for Life」は、パーテーションが生活の一部になるからこそ、エレガントな佇まいを目指してデザインされたのでしょう。高級とは少し異なる、上質な品を感じます。
TOSCA DESIGN
イタリアのインテリアデザインスタジオ。インテリアの他プロダクト、ビジュアルアートを手がける。
Opaca Lab
Davide BozziniとDiana Rabachinによる、ミラノを拠点とするデザインスタジオ。2017年設立。