シルクをコーティングしたら、食品の保存期間が長くなる?!
MIT発のスタートアップが自然な食品加工技術を開発

マサチューセッツ工科大学発のスタートアップ Cambridge Cropsが、シルクの新しい利用方法を開発している。それは、食品をシルクでコーティングすることで保存期間を向上させるというものだ。

同大学土木・環境工学科のBenedetto Marelli助教授は以前、シルクに浸したイチゴをベンチに置き忘れてしまったことがあったという。およそ1週間後に戻ったところ、シルクでコーティングしたイチゴは、腐らずにまだ食べられる状態だったそうだ。

▲画像提供:Cambridge Crops

この発見をヒントに、シルクを使った食品ロスの解決策を構想。仲間とCambridge Cropsを立ち上げ、日持ちしない食品の保存期間を延ばした製品開発を行っている。これまで、農産物や肉類、魚など幅広い食品をまるごと、もしくはカットして、その可能性を検証している。

▲画像提供:Cambridge Crops

シルクの利点は、何千年にもわたる生物の進化によって培われた、素材がもつナチュラルなシンプルさにある。Cambridge Cropsは水と塩のみを使う独自の効率的なプロセスを開発し、シルクの天然タンパク質の分離と再形成を実現。こうして生まれたシルクコーティングは、高価な設備を導入したり改良したりせずに、既存の食品加工ラインに簡単に統合できる。

また、食品の表面に施したシルクコーティングは無味無臭。見分けられないほどの薄いバリアを形成して、食品の自然な分解プロセスを遅らせることができる。食品によっては、保存期間は最大200%長くなることもあるそうで、食品ロスの削減やコールドチェーンの低減、輸送で発生する温室効果ガスの削減も期待できるとしている。End