地球温暖化による植物の乾燥ストレスを緩和
カリフォルニア大学が水分の蒸発を防ぐナノセンサー「SNACS」を開発

世界中で地球温暖化が進むなか、植物をめぐる環境はますます変化している。とりわけ乾燥や干ばつは農作物の成育において大きな問題となっている。

乾燥にさらされた植物は、水分欠乏の状態となってストレスを引き起こしてしまい、その成長に影響を及ぼしてしまうのだそうだ。

ただ、このときに「SnRK2タンパク質キナーゼ」と呼ばれる酵素が重要となる。というのも、このキナーゼは乾燥ストレスに応答して活性化され、葉の表面にある気孔を閉鎖し、水分の蒸発(蒸散)を防ぐからである。また、乾燥ストレスを受けても耐性をもち、植物が成長するためにも、この活性化のメカニズムの解明はきわめて重要なのだ。

そこで、米カリフォルニア大学サンディエゴ校の植物生物学の研究チームは、植物細胞にあるSnRK2タンパク質キナーゼの活性化をモニタリングできる新しいナノセンサー「SNACS」を開発したことを発表した。

以前は植物組織を砕いて得た細胞抽出物からキナーゼの活性化を測定しており、気孔を構成する孔辺細胞の分析には、実験ごとに100枚以上の葉が必要となるなど、気の遠くなるような作業を行っていた。今回のSNACSの開発により、変化が生じたときにリアルタイムで分析できるようになった。

研究チームは、植物の環境ストレス応答を調べる上でSNACSが重要だとしており、植物のさまざまな細胞内シグナル伝達の経路が互いにどのように作用するかを分析するのに役立つとしている。End