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2020.06.05 15:50
着用型ロボット「パワードウェア」を開発・販売するロボティクスファーム「ATOUN(アトウン)」は、このほど、クリエイティブ集団「PARTY」の協力のもと、「ATOUN Vision 2030」を策定した。
これは、「Sci-Fi(サイファイ)プロトタイピング」という手法を生かして、実現すべき「パワードウェアのある10年後のライフスタイル」を描き、そこに到る道筋を示したものである。
Sci-Fiプロトタイピングは、未来に対する仮説を、サイエンスフィクション(Sci-Fi)として表現し、そこからバックキャスティングによって、プロダクトのいまあるべき姿を描きだす手法だそう。
ATOUNが描く2030年以降の未来とは、技能(=アビリティ)が共有され、生来の身体的能力を自由に拡張して動きまわれる「フリーアビリティ社会」である。
パワードウェアを通じて動作を読み取り、技能をデータ化し、他人でも再現できるようにすることで、シンプルなものであれば日常での「技能の引用」が可能となり、高度なものでも直接体験をともなうことから技能の習得が容易になるそうだ。
一流の職人の技やトップアスリートの走法などをデータとしてダウンロード。パワードウェアによって動きを再現するだけでなく、体験を通じて身につけていく。時空をも超えてすぐれた技能を社会の財産とし、人びとがさらに自由に動きまわれる、そんな世界を目指している。
そのために必要なのが、自力で動く「能動」であり、かつ他力で動かされる「受動」でもあるという、「能受」が融合した状態の「中動態」の実現だ。ロボットによって無意識のレベルでサポートを受けながら、人間が主体的に仕事やスポーツ、趣味などを楽しむことができる。
これこそがロボットと人間の究極の関係性だとATOUNは考えている。未来のパワードウェアは、文字どおり人と一体になって、さらなる「あうんの呼吸」で日常を支えるのだ。
さらに、パワードウェアをIoT化し、アクティビティデータを共有、さまざまなシーンに応じて必要なデータをダウンロードしていく。ひとつひとつのパワードウェアは、着用者と一体になりつつもネットワーク化された存在になるそうだ。