当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。
“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。
今日のトピック
ニューヨークのクリエイティブエージェシー、&Walshがデザイナーとしての体験や、現在の社会状況を反映した絵文字「Designer Emoji」を制作し、公式HPにて無料で公開しています。
SPREADはこう見る
緊急事態宣言か解除されたとはいえ、外出自粛の生活は続いています。家族や友人とのメッセージのやり取りやSNSの投稿など、文字情報ばかりで気が滅入ってしまう頃ではないでしょうか。
「Designer Emoji」のなかには、在宅勤務に関連するものやストレス、混乱、サージカルマスク、6フィート(1.8m)といったコロナウイルスによる社会の変化に対応したものが追加され、slackやimessage、whatsapp、instagramなどで使うことができます。
例えば「申し訳ありませんが、2021年までお休みします(Sorry life is closed until 2021)」と書かれた看板の絵文字。劇場などが長期閉鎖された状況を連想させます。金色のトイレットペーパーは、世界各地で買占めが起こり貴重だったことを伝えています。スマートフォンでビデオ通話をしている絵文字は、外出自粛をきっかけにつくられたものでしょうが、今後も友人や家族と通話をするときに使えそうです。
コロナウイルスに関する絵文字の他に、デザイナーらしい体験から発想されたものがあります。&Walshは、いまある絵文字の種類に不満を抱いていたそうです。自分の感情にぴったりあてはまるものがなかったのでしょう。コーヒーカップが高く積み上げられたものは、カフェイン漬けの徹夜のイメージでしょうか。「DEAD LINE」と書かれたお化けは、締め切りに追い詰められた気持ちにぴったりです。今までの絵文字だけでは表現しきれなかった、仕事に対する不満なども絵文字で代弁できれば、ストレス発散になるかもしれません。
毎年の流行語を見るとその年の出来事や風潮がわかるように、この絵文字からいまの状況が伝わってきます。同様に多くのSNSで使われているハッシュタグもトレンドに合わせて新しいものが追加されます。絵文字やハッシュタグは風刺画と同じ、時代を映す鏡と言えるのではないでしょうか。
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&Walsh
ニューヨークを拠点とする、ブランディングと広告を専門とするクリエイティブエージェンシー。
▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。