NEWS | 建築
2020.06.03 16:50
中国は現在、これまでにない都市化を経験している。都市への移住により、数十万の村がすでに放棄されているそうだ。その多くは長きにわたり社会や文化、建造物などを築いてきたが、これから先の意義は失われつつある。
そこで、アムステルダムと北京に拠点を置くNEXT architectsは、中国・江西省のDafangというところにある102の廃村のひとつを舞台にして、マスタープランや建築、インテリアを通じてこの問題に取り組んだ。
今回のプロジェクト「Holland-Dafang Creative Village」は3つのレベルで展開。この村は900年以上の歴史があるが、明朝・清朝の建築はわずかで、10年以上も荒れ果てていたという。
まず、新しい素材を用いて都市の空間や建築、景観を可能なかぎり復元し、古い要素と新しい要素のあいだの対話を促進。
次に、土地にあるものをヒントにした新しい建物として、物見やぐらと公民館を設置。この地域にかつてあった防衛用の見張り塔に代わり、2つのルートが絡み合う中国の「龍柱」をイメージ。上からは新旧の街並みが楽しめるだけでなく、地元で見張り塔は愛する人の帰郷を待つ人々を詠った李白の詩を思い出させるのだそうだ。
一方、村の中心に完成した公民館は、文化大革命のときに破壊された中庭のある建物の跡地に建設。ユニークな屋根の形状は、村の外れにある樹齢100年のクスノキにヒントを得た。ファサードはテラコッタのタイル張りで、そこには鳥が巣を作ることもできる。
3つ目として、アートやアクティビティ向けのスペースを設けた。博物館や図書館、アートスタジオにより、新しい生命と創造性が村にもたらされることになる。また、アーティストは、文脈を変えるなど村の建物を作品にすることもできる。
このプロジェクトは、中国とオランダの建築家、デザイナー、アーティストによる、多分野にわたるコラボレーションの刺激的な事例として、農村地域に新しい命を吹き込んでいる。