NEWS | 建築
2020.06.02 16:30
中国南部・福建省の農村部には、「土楼」と呼ばれる大きな土壁でできた客家の伝統的な建物がある。大家族が防衛のために厚い土壁をぐるりと巡らせた建築で、その真ん中には共有のオープンスペースがあるという。
しかし現在では、この土楼は新しい都市の文脈に囲まれ、現代的な住居のニーズには対応しておらず、その多くは各自で改修を加えたり、うち捨ててしまったりしている。
そこで、Rural Urban Frameworkは、香港大学やHong Kong Design Instituteの学生と共同で、個人/集団や農村/都市のあいだで変わりつつある関係を反映したプロトタイプ建築を作り上げた。
土楼を徹底的に見つめ直し、改めてみんなが一緒に暮らすことができるように、新しいコモンズを目指すプログラムや構造、空間などの改装を実施。土楼の外側に「プラグイン」、内側には「タワー」を設置した。
「プラグイン」は、閉じた城壁を新しい環境へと開くためのもの。すでに小学校に改装されていた土楼の小窓を新しいエントランスに変え、そこに公共の読書スペースを作るのだ。
エントランスに挿入された階段は、中庭で活動するためのひな壇になったり、座って読書したり、日陰で休むことができる場所となった。
一方、「タワー」は、伝統的な中庭を上方に持ち上げることで、土楼の公共スペースを再考。各フロアは、上空へと開かれたらせん階段につながり、上は読書スペースにもなっている。 階段のリズムや大きさを変えることで、座って読書をしたり、お茶を飲んだり、橋の上を歩いたり、バルコニーから景色を眺めたりすることができる。