当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。
“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。
今日のトピック
イタリアのデザイナー、ウンベルト・メナッシ氏(Umberto Menasci)が、夏に向けて、ソーシャル・ディスタンシングを保ちながら過ごせるビーチ「SafeBeach」を提案しました。
SPREADはこう見る
暑い日が多くなってきました。外出自粛でアウトドアやレジャーを満喫できない日々が続いていますが、夏休みには海に行きたいという人は多いのではないでしょうか。
「SafeBeach」は、人数制限と飛沫感染防止のため、樹脂製ボックス内で過ごせるよう考えられた提案です。各ボックスには、パラソルとビーチチェアが備えられています。ナンバリングされた透明のボックスが海辺に整然と並んだ様子は、どことなく未来的です。コロナ禍でもビーチで楽しみたい欲求を叶えるための手段としては、バランスのとれた提案と言えるでしょう。
みなさんは、この提案をどう感じるでしょうか。「人で溢れるビーチよりいいね」と、制限下でのアイデアとして歓迎する人もいるでしょう。個別にゆったり過ごす感覚は、リゾート地のスイミングプールでのくつろぎ方に近いかもしれません。あるいは「飛沫感染防止のためとはいえ、海辺でボックスに遮られるのは抵抗がある。自然の風を感じたい」という人もいるでしょう。その場合は、人が少ない穴場のビーチを探すという選択になるのかもしれません。
今まで普通にできていたことができなくなることで、新たな選択肢が生まれます。選択肢をどのように広げ、何を選択し、新しい未来をつくるか。ポジティブに考えていきたいと思います。
Umberto Menasci
イタリア・ローマを拠点とし、デザインスタジオUmdesignを運営。主に住宅やショップのデザインを扱っている。