世界中の人にファブリックの可能性を伝える
須藤玲子の作品「扇の舞」がオンライン公開

▲須藤玲子《扇の舞》2020, Fabric Touch and Identity (c) Compton Verney, photography Jamie Woodley

テキスタイルデザインスタジオ NUNOのディレクター・須藤玲子の大型インスタレーション「扇の舞(Japanese Fanfare)」は、オンラインでの公開をスタートした。

このインスタレーションは、美しい庭園とユニークな切り口の展覧会で知られる、イギリスのコンプトン・バーニー・アート・ギャラリーにて開催中の展覧会、「ファブリック:タッチ&アイデンティティ(Fabric: Touch and Identity)」のフィナーレを飾るもの。

▲須藤玲子《扇の舞》2020, Fabric Touch and Identity(c)Compton Verney, photography Jamie Woodley

私たちの第2の皮膚であるファブリックについて、アート、デザイン、ファッション、映画、ダンスのレンズを通して、その身体性と社会性に迫る意欲的で遊び心溢れる展覧会となっている。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、美術館は現在休館となっており、このたびオンラインでも楽しめるようになった。

▲徳島の工房に依頼をした本藍染の工程 写真提供 BUAISOU

また、須藤が手がけた「扇の舞」は、2017年にワシントンD. C.にあるJ. F. ケネディ・センターにて大統領生誕100周年を記念して開催された展示を発展させたもの。前回同様にフランスの建築家 アドリアン・ガルデール(Adrien Gardère)が空間デザインを担当、展示室を覆い尽くす223に及ぶ布製の青い扇は、平安時代に日本で発明された扇を抽象化させたものだという。

今回の展示で須藤は、「扇」の空間の中に包まれ、テキスタイルの風合い、青色、扇が連なるうねり、リズムなどが体感されることを願ったという。そして、今回のオンライン公開によって、カメラを用いたより近距離での鑑賞体験、世界中の人々にNUNOの作品を楽しんでもらえる新たな可能性も感じていると語っている。

▲須藤玲子 Photo:Tamura Kosuke

なお、「扇の舞」は2020年秋、茨城県近代美術館での展示も計画されている。End