南太平洋の島国フィジーのココナッツオイル製造施設
環境に配慮した完全自立型の構造

フィジーにあるバティキ島では、主にバージンココナッツオイルを製造している。その製造施設は、以前は村の各地に点在しており、作業は非効率的だったという。

さらに、村の会館内には、オイル製造のための機械やコンテナが積まれていたそうだ。フィジーでは従来、こうした会館は集会や祝い事、食事会や歓迎会、追悼式を行う場所として使用されてきたが、その機能は縮小を余儀なくされていた。

そこで、建築設計事務所CAUKIN Studioの設計により、新しいココナッツオイル製造施設ができあがった。大小さまざまなグループが製造できる柔軟なスペースで、収穫期の増産に合わせて新しい生産ラインを拡張・追加することができる。製造、殺菌、入れ替え、保管専用のスペースを設け、一連の作業が1つの建物で完結するようになった。

環境に配慮した完全自立型の建物で、太陽エネルギーを利用して機械類に電力を供給。モノピッチ屋根から雨水を集めてトイレ用排水として利用、処理/ろ過水がトイレを殺菌・堆肥化する。高さ3mの大きな窓を海に面して設け、裏手に1mの小さな窓を作ることで自然な換気が行われ、自然光を取り入れることもできる。

構造は直感的に分かりやすいものを採用。ポータルフレーム構築なので、必要に応じて同様のものを追加できるなど、将来的な拡張にも対応している。

大きな黒い虫よけの網戸を設置しなければならず、これを活かした美しいメインファサードを目指した。そこで、フィジー全土で織られている伝統的なマットにインスピレーションを得たという。地元では一般的なボードの張りとは向きを変え、一部に焦がしの加工を加えることで、建物の正面全体にそのパターンが現れているそうだ。 End