米ノースウエスタン大学の研究グループが
従来よりもダメージの少ない毛染めプロセスを開発

▲Credit:Adapted from ACS Central Science 2020, DOI:10.1021/acscentsci.0c00068

白髪を隠したり、生え際を整えたりと染毛剤を使う人も多いだろう。とはいえ、サロンや自宅で何度も白髪染めをすることで、髪にダメージを与えることもあるだろうし、染料に発がんのある成分が含まれていないかと気にする人もいるかもしれない。

そこで、米ノースウエスタン大学の研究グループは、従来の染毛剤よりも刺激性を少なくしてメラニン合成を行う毛染めプロセスを開発したそうだ。

天然の色素であるメラニンは、年齢を重ねることで毛髪繊維から失われ、髪の毛が白くなってゆく。多くの永久染毛剤は、アンモニア、過酸化水素、小さな分子の染料やさまざまな成分を毛髪のキューティクルに浸透・着色させていくが、こうした成分はきついものだそうで、髪にダメージを与えたり、美容師や毛染めをしてもらう人にアレルギーや健康上の影響を引き起こしたりする可能性もあるという。

近年では、別の科学者グループが合成メラニンを使って毛染めを行うプロセスを開発ときには、銅や鉄などの有毒にもなりうる重金属や強い酸化剤を比較的高濃度で用いなければならなかった。

今回の発見では、それほど高温ではない熱と少量の水酸化アンモニウムを使用。この水酸化アンモニウムの濃度を高めることで、より暗い色合いを作り出したり、さらに少量の過酸化水素を加えることで、赤みやゴールドといった色合いも出せるようになった。

市販の染毛剤と比べても同じかより刺激性が少ないそうで、キューティクルにメラニンを浸透させるのではなく、頭髪の表面に堆積させることで自然な見栄えになり、ダメージも低いという。そして、この着色された層は18回洗ってもキープできるとしている。End