ロサンゼルス川の歴史を乗り越えて
地域の新しいアイデンティティ橋「Rumblefish」が建設

フランシス・F・コッポラ監督による1983年の映画作品にちなんで「Rumblefish」(ランブルフィッシュ)と呼ばれる橋「Taylor Yard Bridge」が米ロサンゼルス川で建設されている。

過去に軋轢を引き起こしたロサンゼルス川沿いの2つのエリアをつなぐ橋で、過去数十年のあいだ、このエリジアン・バレー地区を主戦場としたギャングたちによる銃撃戦が、毎週のように起こっていたときもあったそうだ。 

現在はとても穏やかになり、多様な人々や新しいビジネスが流入。ロサンゼルス川はいまや新しいアイデンティティとなっているが、「Rumblefish」を手がけるSPF:architectsは、こうした地区の歴史に着目することはなかったという。

むしろ、かつて大洪水が起きたことで隔たりが生まれたという川の歴史を乗り越えるために、中央部分に張り出した広場を設け、川の上流と下流が見渡せるように設計。小規模なイベントや屋外展示を開いてコミュニティが交わったりできる場所となる。

構造は大きなボックストラスのようで、東から西に向かって傾斜。この地域のかつての産業を担った鉄道橋に現代的な解釈を施し、さらにはミッドセンチュリーの「ケース・スタディ・ハウス」からもインスピレーションを得た。

また、できる限り軽量な構造要素を採用し、垂直面は対角線のケーブルを施したブレース構造で補強するなど、視界を遮るものはほとんどなく、橋全体でロサンゼルス川の景色を楽しむことができる。End