サイクロンの被害を受けた南太平洋の国・バヌアツに
地元の材料や技術を活かした学校再建プロジェクト「Ranwas School」

▲Photograph:Katie Edwards

南太平洋の国・バヌアツのペンテコスト島では、CAUKIN Studioが設計を担当した小学校「Ranwas School」が完成した。

2015年に発生したサイクロン「パム」により、全土で甚大な被害を受けたバヌアツ。Ranwas Schoolも破壊され、子どもたちは不十分な仮設避難所で教材不足の状態を余儀なくされたそうだ。

▲Photograph:Katie Edwards

学校再建プロジェクトでは、教室、図書室、職員室などの機能が求められた。そこで、サイクロンに耐えられる構造とし、地元の材料や技術を活用することにした。

また、Ranwasは山の多い島にあり、年間を通して湿度が非常に高く、図書室の本が傷まないように、パッシブデザインで湿度を下げることを目指した。

▲Photograph:Katie Edwards

▲Photograph:Katie Edwards

できあがった校舎は、頑丈な木造門型フレーム構造に地元の竹を外装材とし、シャッター窓にポリカーボネートと金属屋根を組み合わせている。

竹を編んだ壁はゼロコストで通気性や耐久性があり、将来的なメンテナンスも地元コミュニティが実施。教室の両サイドにある大きな窓からは自然光が差し込み、自然換気も行われる。

▲Photograph:Katie Edwards

一方、図書室の本は閉じた空間に保管。黒い金属屋根シートを使って気温を上げ、本の乾燥と湿度の低下を実現。煙突効果による換気システムにより、この屋根シートが太陽で熱せられて建物の外に湿気が排出される、空気の連続的な流れが発生する。内壁は木口面とすることで、湿度の緩衝層となり空気中の水分を吸収し湿度を下げることができる。

▲Photograph:Katie Edwards

図書室の中央にあるはしごを登ると、ベランダの上にある小さなメザニンに通じており、小さくて明るい、居心地の良い読書スペースとなっている。End

▲Photograph:Katie Edwards