蝶の翅の構造色はどのように生まれる?
米研究グループが鱗粉の下にある薄層に着目

▲Credit: Edith Smith

ブルーやグリーンなど鮮やかな蝶がもつ翅の色は「構造色」と呼ばれるが、もともと色がなくても光が干渉することで色づいて見え、その他の色が弱まって見える微細構造によって作り出される発色現象なのだそうだ。

反対に、色素による発色は特定の波長の光を吸収することで生まれるが、これはイエロー、オレンジ、ブラウンなどの色を作るのに使われるという。

▲茶色い翅のアメリカタテハモドキ Credit: Nipam Patel/上の画像は青い翅をもつアメリカタテハモドキ

そこで、カリフォルニア大学バークレー校ウッズホール海洋生物学研究所の研究グループは、蝶の人工飼育者の協力のもと、蝶の翅の構造色がどのようにできるのかがわかったと発表した。

この実験で使われたのは「アメリカタテハモドキ」(Junonia coenia)という蝶の一種で、一般的なものは翅が茶系だが、飼育者は選択交配を行うことで鮮やかな青い翅を作ることができる。

▲Credit: Rachel Thayer

▲Credit: Rachel Thayer

そこから発見したのは、アメリカタテハモドキやその他のタテハモドキ属の翅のうろこ(鱗粉)にある、一番下にある薄い層の厚さを調整するだけで、虹のような構造色を作成できることだった。75%厚みが増すことで、この鮮やかなブルーができあがるのだ。

▲右の断面図:金色の鱗粉よりもブルーの鱗粉のほうが薄層は75%ぶ厚い。Credit: Rachel Thayer

この研究は、ソーラーパネルや、虹色の塗料や衣服、化粧品など、フォトニックナノ構造をもつ製品の開発に役立てたいとしている。End