ウィルスと環境問題

ナカダイの桜は、今年も満開になりました。一昨年に土手の上を歩けるように整備したこともあり、本当にたくさんの人が、黄色の菜の花と満開の桜を楽しみながら、散歩してくれています。しかし、満開の桜があるにもかかわらず、10年近く続けてきた「こまがた桜まつり」を中止にしました。地域の人たちとの、毎年恒例の交流会を中止にするということは、私たちのように地域密着で業務を行っている企業にとっては簡単な決断ではありません。それでも中止を決めたのは、開催することで参加者の生活や健康に悪い影響が出ると判断したからです。今回はその要因がコロナウィルスでしたが、他の事由でも同様の判断です。学校が休校になり、自宅待機になり、出入国も制限するような、精神的にも経済的にもダメージがあるようなことをしなければならないのは、いかなる経済活動や娯楽よりも、安心で安全な生活環境と健康の維持が最優先されるということを証明していますし、事実、私たち自身も自分の、親の、子供の、同僚の健康の心配をして行動しています。

私は医学的な専門家ではないので、コロナウィルスに関しての私見は控えますが、環境に関しては専門家なので、その観点から見ると、今回ほど、同時に全世界の人たちが、当たり前に生活できる生活環境の大事さと、健康であることの有難みを感じたことはないのではないかと思います。コロナの終わりは見えませんが、数カ月後か、半年後か、一年後か、いつかは終息すると考えられています。しかし、環境問題は終息せず、悪化していきます。私は今回のコロナウィルスは、私たちに大きな警告をしているように感じています。

環境問題とは未然に防ぐのが大前提です。起こってしまったら、元に戻すのは大変だからです。今回のコロナウィルスも、亡くなった人もいるし、後遺症の残る人もいるかもしれません。過去に起こった痛ましい環境問題と同じです。そして、今回のウィルスは数カ月先には終息するかもしれませんが、現在私たちが直面しているたくさんの環境問題はどうでしょうか。終息=修復させるには、数年、数十年かかるようなことばかりです。海洋ゴミ、森林伐採、温暖化、海面上昇……、すべてにワクチンのような治す薬は存在しません。今回のコロナウィルスのように、健康被害に直面するレベルに達したら、私たちはどうするのでしょうか? 今回のように自主避難をして、経済活動を止め、自然が修復するのを待つのでしょうか。気温が上がり、通常に生活できない状況になったら、経済活動を辞め、二酸化炭素の排出を自粛し、地球の温度が下がるのを待ちますか?

コロナウィルスの影響で、おそらく、多くの企業が、自分たちのビジネスやサプライチェーンなどの見直しをするでしょう。であれば、そこに、想像力と創造性で、私たちの社会の仕組みそのものを変化させる、環境と共存する要素を付加した見直しをすることが大事だと考えています。End